アルケミラの小部屋

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<Halloween 2011>ジャック・オ・ランタン守るぺぽ



 こちらは今回の依頼のプレになります。
 もしよろしければ、ご参照下さい。






※IGすると原初の吸血鬼の様な禍々しい姿
※でも口調は普段の穏やかなものです


こうして何も考えず
ただゴーストを討つのは…

よくない感想ですけど
気が楽ですね

沙希さんや他の方と肩を並べて戦えるのも
心が安らぎます

ともあれ感傷に浸ってばかりでは危険な依頼
気を引き締めないと


■陣形
姉さんが前衛
僕が後衛です

■方針
抑え役の方が2体を抑えているうちに
残り1体を集中砲火で各個撃破

後に傷の深い1体から同じ様に
抑えの交代役として姉さんが立候補です

初手強化は行わず
戦形を整えて即座に攻撃に


■戦闘
基本は方針通りに

「和む相手ですけど戦闘能力は脅威ですね…」

姉さんは初手で抑え役がついた
ぺぽさん以外の残り1体に接敵
開幕全力からアビ全開です!

以後は体力2/3以下
または敵近接アビを受けたら回復で

但し回復タイミングが被らない様に
他の方とはズラします
全員で回復すると火力が落ちますからね

コスプレの時は敵と同じ姿の着ぐるみを纏い
「ぺぽ?」とばかりに小首を傾げてみせます

騙されて一瞬でも動きが止まればいいんですが…
もし止まったら

「今です!」と合図

僕もすかさず攻撃を


此方はヒーローのうずまきさんに勇気を貰いつつ
後衛からアビを
鳴き声に警戒しつつ戦況も同時に観察
もし抑え役の方の回復時には姉さんに交代を頼みます

「お願い、姉さん!」

漢前なサムズアップで応える姉さん
姉さんがダメな時はブランシェさんにお願いしますね

さて
南瓜は無事だといいですね…

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憐憫~潰エタ私闘ヲ望ムモノ~ 夜話





 目の前に、細く儚い体躯が横たわっていた。
 つい先ほど響いた胸郭を砕いた音は、粛然と、細躯の絶命を告げていた。
 臥した四肢は力を喪い、少なくとも、生者として動くことはもう、ない。


「―――――――――」


 訪れた勝利に去来する想いは、脆く弱い自身の双肩を圧し潰さんばかりの虚しさと
 言葉を紡げなくなるほどに苦い罪悪感。そして、胸が張り裂けそうなほどの哀しさだった。

 その異形を恥じることなく、正道を歩んだまま、己を曲げず
 こちらに曲がらず、曲げられずに戦い抜いた貴き血の貴人、セプテン。
 彼にそんな末期を贈れたことが誇らしく、嬉しくもあった。
 戦に臨む者に、ふさわしい舞台を捧げられた。
 共に戦ってくれた銀誓館の同志には感謝の言葉もなかった。

 彼から受けた血の雫は、己の中で生き続けている。その想いと共に。
 故に、彼を忘れない。今まで戦ってきた好漢強手と同じく。それ以上の畏敬を以て。
 あの姿を、自分は心に留めることが出来るだろう。


 そして、そんな誇りと喜びを塗りつぶすほど、哀しかった。
 『本当の名前』すら知ることの出来なかった、貴き血の少年の死が。
 彼から受けた血の雫、飲み干した彼の血の一滴から伝わってきた想い。

 優秀な兄に焦がれ、その親友である研鑽家に焦がれ
 けれど、その二人から顧みられることなく、それでもその二人を愛した心。


  彼にはその気持ちが、全てとは言わないまでも、理解出来た。
  彼も同じだったからだ。

  父は歴代のストロームガルドの中で、最強の魔人だった。
  武芸知略に秀でた自慢の父親。
  その息子である自分は、歴代のストロームガルドの中で最弱だった。
  父には「才能がない」と言われた。
  「戦場に立つべきではない」と。

  戦いに向かぬ自分を慮っての言葉でもあったと、今なら理解出来る。
  名も知り得なかった少年と同じように、彼は父を愛した。
  父も、彼を精一杯愛してくれた。

  せめて父の名を穢さぬように、と腕を磨いた。
  父は、ただ笑って、見守ってくれていた。


  そんな父なのに、世界結界には、抗し得なかった。
  見えざる狂気を経て、『棺』で眠る刻が訪れ、自分は、その父を
  『棺』に封じ、永遠に終わらぬ生きながらの死に誘ったのだ。

  あんなにも自慢だった、自分よりもストロームガルドにふさわしい父だったのに。


  不甲斐ない自分と、憧れて愛した、もう今は居ない人を抱える心が
  全てとはいかないまでも、理解出来るからこそ、哀しい。

  何かが違えば、自分も、そこに立っていたのは自分だった。
  その運命の数奇さと、自身を同じ想いを抱えた少年を、殺したことが……ひたすらに、哀しい。
  
 

 日本で儀式を果たし、オクタンス麾下の吸血艦隊に迎えられる栄誉を得て
 戦いの中で絶命した彼の兄。セプテンにとっての本当の「セレニ」である月長。

 その訃報を聞き、儀式に挑んで後を追い、そして今し方の戦いで
 セレニと呼ばれた少年の前で死んだ、セプテン。


 彼にとっての自分の父を、自身の手で奪い、喉が枯れるほどに泣いた自分の山を築いて
 それでも、同族を害し続ける。己の骸の山を積み上げながら、先に征く。


 見えざる狂気を抑えるイグニッションカードという奇跡にすがり、その技術を手にし
 いつか故郷に戻り、その力で、墓守を救うために。
 未来に己を残さないために、今の己を殺し続けていく。
 父を奪った世界結界を維持する、人間という種族が蔓延る世界に力を貸しながら。

 己の選んだ道行きが、今は呪わしい。
 それでも、やめるわけにはいかない。
 積み上げた屍を、無駄にするわけにはいかないから。


 虚しさと罪悪感を振り払い、心を奮い立たせて、尚、残るもの。
 その哀しみだけを、今は噛み締める。目の前の少年の死を悼むために。


「―――――」


 傍らに落ちていた手帳に、折り重なった亡骸からこぼれた血を塗りつける。
 三日月刃のガンナイフを拾い、墓標の代わりに、己のガンナイフを突き立てた。

 最後に、墓守として、その役目を果たす。
 二人の血をもう一度指先にすくい、Sargへと塗り、その血を刻む。
 見えざる狂気に堕ちた吸血鬼を、『棺』に封じるのが墓守の役目。
 それは、相手がたとえ死したとしても、変わらない。
 吸血鬼の正道を寿ぎながら、その正道を妨げる。
 それが、ストロームガルドの在り方だった。


「―――貴方を慕う誰かが、復讐の誓いを立てるとき。その相手が一目で僕と、判るように」


 これは、いただいていきます、と告げて
 彼は三日月刃のガンナイフを恭しく捧げ持った。
 まるで原初の吸血鬼のような禍々しい顔に
 いつもの穏やかで、寂しそうな笑顔を浮かべて。

 そうして、尊すべき血への義務を果たした後。
 彼は、同じ想いを抱えた同族の少年に、等身大の少年としての言葉を、一言こぼした。


「―――君と、友だちになりたかったよ」


 最後に。
 彼を呼ぶ名すら、持てないことが。

 一族に継がれた名ではなく、彼の、彼自身の名すらも呼べないことが。
 彼は、たまらなく、哀しかった――


 

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憐憫~潰エタ私闘ヲ望ムモノ~



こちらは「憐憫~潰エタ私闘ヲ望ムモノ~」のプレイングになります。
参加者の方は、よければご参照ください。




※イグニッション時は原初の吸血鬼の様な禍々しい姿に
※けれど口調はいつものままです

■心情
誰かを目指して力を求める

そこにある犠牲が人間なことに
あまり心が痛まない僕は…
結局、吸血鬼、か…

セプテン閣下は何を望まれていたのかな…


■態度
全ての貴種とその従属種の血は貴き血
特に吸血鬼の本道に進まれたセプテン閣下は敬すべき勇士

戦場ゆえに略式なれど
最敬礼と敬意を以て相対します


■侵入
陣形を整え
不意打ちを防ぐため
総員で警戒しながら侵入

■優先順位
従属種お2人>セプテン閣下>セレニ閣下

■陣形
姉さんは前衛
僕は後衛に

■戦闘
姉さんは初手で前線を構築
セプテン閣下が後方なら従属種のノーマークの方へ
閣下が前衛ならマークに

初手で自己強化
コスプレで黒の夜会服に着替え
貴き血の方々へ失礼のない様に

「忌むべき墓守たるストロームガルドが一子、イセスとその姉、アルケミラ」
「不肖の身なれど、閣下たちに相対いたします」

姉さんは全力で閣下方に挑み
体力は6割以下で即座に回復
攻撃より防御主体で前線維持に注力します

僕はスティールで後衛火力に

基本は優先順位の順に全員で集中砲火
オーバーキル防止用に連携せず
味方の動きを確認し攻撃

異形の体躯に漂う哀惜の気配に
自然と僕の表情も同じものに

セプテン閣下へのスティールは
右の指を鉤爪状に曲げ
薙ぐ様に放ちます

父の授けてくれた
敬すべき敵に捧げる構えで

「閣下の御姿、しかと刻みました」

■撤退条件
他の方のプレに従います

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TRPG同好会打ち上げプレイングー!!

イベント後のテンション絞り出したら勢いだけの文章になったぽんぽこなー!!(くわっ)


  (その後ろで澎湃と涙に暮れる真サキュバスドールが一匹)


おねーたまΣ





【TRPG同好会】の皆さんと一緒に打ち上げに参加です!
もちろんこたんちゃんも一緒ですよー!


「お疲れ様ぽんぽこー!」

頑張った…
本当に頑張りました僕も皆さんも!
渾身の力でタヌタリオンのまま前のめりに倒れます!
そして即脱皮!

「サー打ち上げやろナー♪」

あぁ貴女はチャイナ・ストロームガル子さん!?
即座にその姿からも脱皮
普通の制服姿でしみじみします


「いやあ、それにしても」

【14】へ行く人の多いこと…!
皆さん好きね…!

「こたんちゃんもね!」

そして努力賞二人の感動的ゴールや
ノリノリの予報士さんたちの話をしましょう

そして明かされる真実

「いやあ締切間際ってドラえもんが来ますね…」

あの企画
前夜に30分で生まれた事実!

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Going On!

 



   ―――その人は、ただ、静かに
                           そこに佇んでいた




           「Going On!」



 出会いは、よく覚えていない。

 ただ、彼が
 「入団した時から、気にかかっていました」、と静かに言ったのを、よく覚えてる。


 目の前に佇む人を見つめて、つかの間、想いを馳せる。
 この人は、僕にとって、きっといつまでも尊敬に値する先輩であり続けるからだろうか。
 いつも、助言を貰い、互いに励ましの言葉を交わし、いたわりの言葉に微笑みを浮かべ合う
 そんな、関係だからだろうか。

 この、今、眼前に広がる光景に、僕は、想像の中ですら、たどり着いたことは、なかった。


 もちろん、この人を戦友として見なかったことはない。
 彼は窮地を共にしてくれる、頼もしい戦友だった。
 優秀な戦士として、彼のことをいつも頼もしく感じていた。
 僕よりも、よほど、上手に戦う人だと思う。
 この人たちのリベレイションアビリティは、正直、ずっと憧れだった。


 では、何故だろう。
 この人は戦う人だと知っていたのに、何故、僕はこの瞬間を想像し得なかったのだろう?
 この人の強さを間近で感じ、十分に肌で理解し、その強さの程を知り尽くしていたのに――

 吹き抜けていく初夏の風、真夏の熱を含んだ風が、あの人の長い制服の裾と、僕の髪を揺らす。
 開始の合図を待つ間、走馬灯のように駆け巡る追想に、心を乗せる。



    思い至ることもなく、何故、僕は、彼の向こうを見ていたのだろう。
    夏日に浮かぶ影を追う足すら、なくしかけていた僕だと言うのに。



 今日、戦う約束を交わした友を思い浮かべる。
 僕よりも早く駆けていく、同年代の友人の姿を、いつしか眩しそうに眺めていた。
 彼女の後ろから、いつの間にか追い越されていた道を、ゆっくりと歩いていたんだ。

 彼女が、僕の何を追っているのか、わからなかった。
 もし、僕が悩み抜いて、苦しみ抜いて、その果てに戦っている姿を追ったのだとしたら
 それは、あまりにも残酷な追跡だったと、思う。

 彼女の追ったモノは、遠い幻であり、彼方の蜃気楼であり、僕の、叶えられない、夢。
 あまりにも清らかで都合のいい幻想を、僕は、他の誰よりも醜く、愚かしく、みっともない
 歩み方でゆっくりと、死の間際の旅人のような歩幅で、追いかけている。
 顔を上げて先を見据えるたびに、純粋すぎるその尊さに、辿り着く筈はないのだと、
 何度も何度も、打ちのめされ続けながら。


 だから、もし彼女がそれを追っているのであれば、僕は、決して彼女には勝てない。
 僕の歩みは迷いだらけで、まっすぐにそれを見つめ続けられるほど、強くはなかったからだ。
 すでに、スタートの時点で、勝負が終わっている勝負だった。
 それでも、その幻を信じてくれたかけがえのない友情のために
 出せるだけの全力を出すつもりだった。

 彼女が、そんなものを追いかけていなかったとしても
 その迷いのない歩みと眼差しに、僕は………きっと負けていた。
 

 彼女が僕の「何」を見ていたのか、わかれなかったから。
 どんな「僕」で、戦えばいいのか、わからなかったから。


 彼女と、戦う資格があるのかどうかすら、僕は、迷って、いた。


 その人は、静かにそこに佇んでいた。
 強い意志を秘めた眼差しが、「僕」、を、しっかりと、視ていた。


 彼が、「入団した時から、気にかかっていました」、と静かに言ったのを、よく覚えてる。
 彼にとって、「僕」、は、なんだったのだろうか?


 彼の傍らに、黒い影。彼の、最愛の姉。
 死して離れることのない、家族。


    世界結界という、悍ましい檻の中では認められることのない、「家族」
    そんな「家族」を持つ者同士だから、彼は、僕を見ていたと、言った


 僕の傍らにも、黒い影。僕の、最愛の姉。
 お互いの手に、ガンナイフ。
 僕たちは、武装も、愛する家族も、同じだった。


 彼が、もう、ずいぶん前に
 「入団した時から、気にかかっていました」、と静かに言ったのを、よく覚えてる。
 そんな時から、彼は、僕を静かに、見ていた。


 みっともなく足掻いて、地べたに這いつくばって
 のたうり回り、呪詛を吐き散らして、人間という種族すべてを憎み尽くしながら
 ただ、同族のためにと口にして、同族すらも血反吐に沈めて、勝ち進みながら
 人間を勝たせるために、臓腑を焼き焦がしながら、戦争に身を捧げた
 「僕」の全てを、視ながら


 彼は、最初に、あの言葉を言った時と同じ笑顔で、僕と同じ時間を過ごしてくれた。



 彼にとって―――――御鏡・幸四郎という人にとって、僕は、なんだったんだろう。

 ここに、答えがあった。
 彼は、静かに佇んでいた。

 ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・ ・
 僕を、待っていた。


 彼にとって、僕は、同じ想いをわかりあう友であり
 長く、この学園に在籍する、ベテランの彼に、いつの間にか追いついている
 「がんばっている後輩」、だったから。

 最初から、彼はそれ以上でも、それ以下でもなく、そうとして僕を見ていた。
 そう、思っていてくれていることが、わかった。

 僕は、彼を理解する。
 彼は、僕をすでに理解していた。

 彼を、しっかりと見つめ返す。
 正面の相対の筈なのに、彼の、背中が見えた。


 僕がいつしか見失っていた、追うべき背中が。


 彼は、約束もしなかったのに、ここにいる。
 段取りを決めて、運を天に任せて戦いを誓い合った彼女よりも厳しい条件をくぐり抜けて
 ただ、純粋に、僕と戦うためだけに、ここに来てくれた。


 何故、気がつかなかったのだろう。
 何故、忘れていたのだろう。

 静かな心に、燃えるような闘志を秘めた人であるということを。
 長い長い時間を耐え忍ぶことの出来る、本当の強者であるということを――!


 彼は、待っていた。
 彼は、待っていたのだ!


 僕と、よく似た道を先に歩んで、その途上。
 振り返り、僕の歩みを見つめながら、見守りながら。
 自らも歩んで、先にたどり着いた分かれ道。
 道の交わる場所で、未熟な後輩が、やがてここにやってくることを―――



         「いつか、あなたと戦ってみたかった―――!」



 戦いの交差路の先で、こんなにも、待ってくれていたじゃないか―――――!!



     「――――――全力で行きますよ!」


 視界が開く。心と共に吼える。
 胸の火が、一瞬で四肢を焼いていく。

 
 血潮が、今は失った輝かしい希望の鼓動を一瞬だけ刻む。
 この血の貴ぶり/昂ぶりを、右腕に込める。
 幻でもいい。夢でもいい。一撃だけ、たった一撃だけでいい。

 僕が正視できない夢の涯の君よ。
 せめて彼を失望させないだけの打撃を、右腕だけでいいから、貸してくれ――。


 開始の合図が、響く。


 彼女との約束は、頭から消えていた。
 次を見ていて、勝てる相手なんかじゃなかった。


 地を蹴るタイミングは同時。
 しかし動くのは相手が一瞬早い。

 当たり前だ。
 装備は同じ。
 それなら、強い方が迅い―――!


「――――――――――ぁ」


 視線の先、かさなる影。生まれる、新しい一つ。
 羨み、焦がれてやまないアビリティが展開される。

 僕の背後、僕の疾走に一瞬も遅れることなく、姉さんが黒のドレスを纏う。

 先んじられない。
 とられたイニシアチブは覆らない。

 僕と彼のレベル差は、たった1レベル。
 そして、その1レベルは、僕達の間において、致命的な差だ。
 彼の一撃は容易に僕を撃ち伏せる。
 魂の凌駕の抵抗すら、叩き伏せる。

 こちらが凌駕で取り戻す体力が、彼の与えてくる毒の効果を凌ぐのに2点、足りない。
 たった2点の体力が、致命的に敗率を上げている。致命的な1レベル差。
 後手に回ってはいけない相手に、けれど先手をとることすらも出来ない――!


「―――――あ」


 ガンナイフの筒先から放たれる一撃を、残像すら残す奇跡的な速度で、姉さんが庇う。
 直撃した箇所のドレスが、抵抗もなく、撃ち砕けて虚空に散った。


 ドレスを纏い直す姉さんをスクリーンに、右手を、構える。
 五指を曲げて鉤爪の拳形、右斜め上、大上段。
 父さんにたった一つだけ授かった、僕の宝物。

 どんなに強い相手であっても、その強さ、その生き様、その在り方を敬し
 「克ちたい」と望んだ相手以外には撃たない、僕の、矜持(プライド)。

 それを、振り下ろす。
 彼に、渾身で叩き込む。


  「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――!」


 叫んでいた。
 叫んでいた。

 必死に、渾身で、全霊で、全てを振り絞って、叫んでいた。
 何も考えずに、この強い人に、一撃をぶつけることだけを考えて、叫んでいた。


              ―――白昼の影法師の右腕に、伸ばした右腕が、届いた気がした。



 「―――っ」 


 一撃で、彼の防具を剥ぎ落とす。
 交差された両腕の防御を抜け、凄まじい詠唱銀の守りの城塞を、突破する。

 そして、それだけだった。
 彼は、立っていた。


 銃口が、電光石火で、僕をポイントする。
 逃げられない。かわせない。体勢を立て直すヒマすら、与えられない。


     ―――ずっと、傍に居て、見守っていてくれた。
 

 撃ち出された弾丸が胸腔をぶち抜いて、背後に突き抜ける。
 僕の、気魄防具は、術式の雑霊弾に対して、余りにも、無力だった。
 一発で粉々に防具が砕けて、銀色の雨が、降り注ぐ。
 胸部を突き抜ける痛みと熱さが、伝えてくれる。


     ―――待っていてくれた。


 四肢から力が抜ける。吐き出した想い以上の力を、心は、もう与えてくれない。
 付随効果の毒を受けるより前に、意識が静かに刈り取られていく。
 膝が折れて、ゆっくりと、前のめりに倒れていく。決着は、一撃だった。


     ―――だから。


 今日の戦いは、彼女を見定めての、ことだった。
 彼を相手にするには、心も、体も、準備が足らなすぎる。
 この戦いにかける想いですら、彼は、ずっと持ち続けていて。
 僕は、今日気づいたばかりだ。重みが、あまりにも違いすぎた。
 この結果は、ひどく当たり前の、結果だった。


     ―――今度は。


 納得している筈なのに、心のどこかが疼いている。
 追い定めた背中だからこそ、見定めた相手だからこそ。
 たとえ、準備不足でも、心構えが出来ていなくても。
 どんな理由があったとしても―――負けるのが、悔しい。


     ―――僕が追いかける番なのだ。


                      「あぁ――」

     「――少しだけ」





     「――先に行きます」

                      「勝ちたかったなぁ――」


 倒れた僕を
 あの人は、振り返らなかった―――――――


 

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