アルケミラの小部屋

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イセスの修学旅行日記 4日目

 6月27日(土曜日)   天候:快晴


 修学旅行四日目。楽しかった修学旅行もこれで最終日。名残惜しいなあ。
でも、終わらない旅行はないんだし、帰ったらファイナルクエストが待ってる
んだもん。最後の修学旅行になる今日を思いっきり楽しんで、ファイナルクエ
ストに挑まなきゃ、学園で残ってレベル上げをしてくれてるみんな、作戦を考え
てくれてるみんなに失礼だよね。うん、精一杯楽しむぞっ!


 激闘の枕投げから一夜明けた僕たちは、最終日に高知へバスで移動。初日
が徳島県と香川県、2日目がまるごと香川県。3日目に愛媛県。4日目に高知
県、これで四国四県をめぐったことになるんだね。あっという間だったなあ。今
日向かうのは日本最後の清流、四万十川。高知県から生活文化遺産として指
定も受けてるんだって。到着して目の前に広がってた清流は、晴れ渡る空と白
い雲を映す、鏡の様に澄み渡った透明な色。うわぁ……ホントに清流、って言う
字にピッタリの川なんだなぁ………みんな、目の前に広がる景色にしばらく言葉
を失ってたっけ。


 素晴らしい景観に魅入る事しばし、遊びたい盛りの僕たちは早速、この後に待ち
かまえる予定にドキドキソワソワ。トロッコ遊び、カヌー遊びに行く人とは一度ここ
でお別れ。僕は汐音さんと合流して、鮎釣りへ。川釣りは初めてじゃないけど、鮎
は友釣り、っていう囮の鮎を使って、他の鮎を釣る釣り方をするみたい。しかも、岸
辺で糸を垂れる釣り方以外にも、川の中に入って釣る釣り方もあるみたい。これは
初めて見る釣り方だなぁ……汐音さんは川釣り自体初めてなんだって。「それほど
難しくないよ」、と言いたいんだけど、友釣りは初めてなんだよね。とりあえず、やっ
てみなければ判らないから、まずは二人で岸辺からチャレンジすることにした。


 二人で並んで、澄み渡る清流にオトリ鮎をつけた糸を垂れること5分。当初の心配
を他所に、鮎は面白いように二人の竿に掛ってく。うわぁ、友釣り、ってこんなに釣れ
るんだ……びっくりするくらい釣れるから、汐音さんと二人でついつい、言葉を交わす
のも忘れて熱中しちゃった。ときどき交わす言葉は、「イセス、今何匹だ」「5匹、汐音
さんは?」「同じだな。すぐ引き離してやる」。気がつけば、二人でデッドヒートを繰り
広げてたなぁ……ふふ。


 岸釣りも順調なので、キリのいいところ……お互いに鮎の数が同じになったところ
で、川の中に入って釣る渓流釣りに似た釣り方をしてみることに。滅多に出来ない
経験だもんね。鮎も十分釣れたことだし、チャレンジチャレンジ♪ 川に入る為の道
具は一式、貸し出してくれてたから、それを借りていざ川の中へ。澄み切った清流
に身を浸すと、思ったよりも強い川の流れが緩やかに体に感じられる。こうしてると
自然って雄大だなぁ、って、実感する。


 川の浅瀬まで来たら、鮎釣りを再会。川の中で釣る時には、流れの中でふんばり
ながら竿を流さないといけないから、思ったよりも難しい。さらに釣り上げる時に竿を
手元に返して、鮎を外さなきゃいけない。座って出来る岸釣りとは違って、全て立っ
たままの作業になるから、釣るよりも釣った後のリカバリーの難易度がさらに上昇
してる。これは……思った以上かも。でも、面白い! 釣りにもこんな楽しみ方があ
ったんだなぁ。ちょっと渓流釣りも勉強してみようかな? 川釣りの結果は汐音さん
が4匹、僕が3匹。残念、1匹差で負けちゃった。でも、すっごく楽しかったね、汐音
さん! また、機会があったら渓流釣り、一緒に行こうね♪


 鮎釣りが終わったら、今度はお楽しみの昼食タイム。釣ったばかりの鮎をその場
で塩焼きにして食べたんだけど、これも絶品! 淡く塩のかかった湯気の立つ白身
は、淡白だけど、ほのかな甘味があって、塩味がそれをさらに引き立てて、二つの
味を互いに高めて……ああ、思い出すとおなかが減るなぁ。ただ焼いただけなのに
こんなに美味しいんだもん。お土産にした鮎は、天ぷらにしてみよっと。汐音さんも
隣で舌鼓。うーん、最高の最終日♪ ……そう言えば、全然関係ないんだけど、串
打ちをした鮎を食べる汐音さんを見て、汐音さん、片手で食べられる食べ物が似合
う人だな、って思った。ハンバーガーやホットドック、サンドイッチ、それに串焼き、も
ちろん焼き芋も。アウトドアなイメージがあるから、食べやすい食事が似合うように
感じるのかな? でも、小口で食べる姿はすごく上品なんだよね。


 塩焼きを食べたところで一息ついていると、去年のクラスメイトだった月島・生樹さ
んの姿が見えたので、月島さんのところへ。月島さんが運命予報士だ、って知った
のは、今年に入ってからだったんだよね。同じ教室に居ても、隣の席の子が能力者
や運命予報士だって判らないのは、何だか不思議な気分。だからこそ、出会えた時
に運命の糸を強く意識するのかな? 月島さんに挨拶をして……そして紹介するの
は、僕の彼女の汐音さんのこと。去年一緒だった、エルロードさんや遊馬崎さん、水
走さんや燈雫さんに散々からかわれたっけ。汐音さんも、凛々花さんや涼介、望美
さんにからかわれて大変だった、って言ってたな。すごく照れてたそうなんだよね。
月島さんに汐音さんのことを紹介すれば、汐音さんはいつもと同じ顔で挨拶。嗚呼、
そっか。もう、照れないんだね、汐音さん。恋人なのが、当たり前のことだから。胸が
いっぱいになって、ぎゅっと手を握る。月島さんの言葉に、汐音さんが赤くなって、そ
っぽを向く。胸を満たす、気持ちの熱さに、もう一度、ぎゅっと強く手を握った。


 四万十川でのスケジュールも終わり、名残を清流に残しつつ、バスは一路高知空
港へ。流石に、この四日、遊びに遊びきった皆は、疲れて寝てる人が多かったな。
僕は、昨日ぐっすり寝たおかげか、全然眠くなかった。隣で、船をこぐ汐音さん。肩に
かかる小さな重み。起こさないようにそっと肩を抱けば、僕よりも小さくて華奢な肩が
手に感じられる。すっ、と切り替わりそうになる気持ちを、今だけは押さえつけた。た
しかに、明後日はファイナルクエストかもしれない。僕たちが遊ぶ時間は終わりかも
しれない。でも、空港について、飛行機に乗って、家に帰るその瞬間までは、僕たち
の青春を謳歌しよう。学生としての僕たちの日常を、楽しもう。だって、「家に帰るま
でが修学旅行」なんだもの!


 空港で飛行機を待つ間の時間、汐音さんと鳴門の渦潮の話と四万十川での話を
した。同好会の皆と、讃岐うどんの話と道後温泉の話をした。旧F組のみんなと、し
まなみ海道の話をして、騎士団のみんなに、今治の話題をメールした。どれも、これ
も、たった四日の出来事なのに、何日も遊んでいたかのような、楽しさのぎゅっとつ
まったイベントだった。去年の九月にこっちへ転校してきて、友達なんか、出来ない
って思ってたのに。僕は……こんなにもたくさんの友人と、こんなにも素敵な思い出
が作れたんだ。

 美奈子さん、ありがとう。僕を、こっちへ呼んでくれて。みんなと出会わせてくれて。
 父さん、母さん、僕は、今、こんなにも幸せです。僕が送る手紙は、父さんと母さん
の棺に、届いていますか? 二人のくれた命が、こんなにも幸せなことが、届いてい
ますか? 



 修学旅行に一緒に行ったみんな。本当にありがとう。
 僕の人生の中で、最高に楽しい旅行の思い出が、出来ました。




 

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