アルケミラの小部屋

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イセスの修学旅行日記 3日目 その3

 海の駅での美味しいお昼ご飯と、楽しい思い出…楽しいよね、うん。みんな
すっごく笑顔だったし。うん、楽しかった。楽しかったんだ! ……うん、ホント
は笑われるのだって楽しかった。大きな口をあけて笑う鳥守道さんと、静かに
微笑みを作るネーヴェさんが対照的だったな。鳥守道さんは少ししか話したこ
とはないけれど、望美さんよりもさらに元気でパワフルな人のイメージ。彼氏さ
んが出来たんだって聞いて、うれしかったな。ネーヴェさんは逆に、僕たちの
中で群を抜いて大人っぽい方。微笑む仕草は静かで、それで居て強い印象の
残る方だ。……ホントは「閣下」をつけてお呼びしたいんだけど、ダメだって…


学園の貴種の方は、何故か「閣下」と呼ばせてくれないんだよね…今回一緒
のヴァリウス閣下も、面と向ってだと「ダメ」って言うし。理と掟を外れた貴種を
狩る、断罪者の血統だから、ご謙遜なさる事ないのに……凛々花さんも、最
初、「八重咲閣下」ってお呼びしたらすごくビックリしてたっけ。そんなに変なの
かなぁ…? エルフィンストーン閣下ですら、あ、いけない、話がズレた。


そんなみんなとの楽しい思い出でおなかをいっぱいにしたら、ふたたびサイク
リングに出発。目指すは亀老山展望公園。傾斜のついた坂道だって、みんな
とならへっちゃら。言葉を交わしながら、励ましながら登れば、いつの間にか、
展望公園についていたくらいだから。坂を登りきった僕たちの前に広がったの
は、見渡す限りの、空と、海。真っ青なパノラマ景色に、誰もが言葉を失って
た。もうすぐ訪れる夕暮れの匂い、夏の気配。遠くには僕たちの戦った街と守
った街。僕たちの後に公園にたどり着いた人たちのはしゃいだ声で我に返る
まで、僕たちは、言葉にも、写真にも、絵にも残せない「景色」を、ずっと、ずっ
と、心に焼きつけ続けていた。


 何だか少し気恥ずかしさを交えた雰囲気のみんな。とりあえず、気を取り直
す意味も兼ねて、塩アイスを食べようってことになって。みんなで塩アイスを食
べに。塩とアイスの取り合わせ、ってさっぱりイメージがつかなかったけれど、
一口食べてみると、不思議だけど納得の味。甘さと塩味の、なんとも言えな
いハーモニー。味についてまたみんなと話しながらたどり着くのは、展望台の
手すりに到着。そこにはたくさんの南京錠がかけてあった。この展望台の手す
りに愛を誓い合いながら、南京錠をかけると2人の愛は永遠になる、っていう
噂があるんだって。女の子の比率の多い、旧F組一同。そんな場所に行けば
南京錠のことが話題にならないはずないよね。

 「南京錠かぁ。汐音ちゃんは言わずもがなよね」

 そんな台詞で口火を切ったのは望美さん。途端に、珍しく真っ赤になる汐音
さん。ふふ、不意打ちだったのかな。うろたえて、もごもごと口の中で言葉をに
ごしてる。でも真っ赤になってくれて嬉しいな。ここまで照れてる汐音さん、めっ
たに見れないんだもん。このメンバーのおかげ、かな? こっそり事前に準備し
ておいた南京錠を後ろ手に隠しながら、そっと、汐音さんに囁く。いつも、いつ
も言っている言葉。もう何百回、何千回って伝えた言葉。

「大好きだよ、汐音さん」

 いつもなら、「フン」と少しだけ顔を赤らめて、そっぽを向くだけの汐音さんが
今日は、「勝手にやってろ」、と、すこしドモりながら、そっぽを向く。あまりに
も可愛くて、愛しくて、抱き締めたくなって。でも、流石にそこまではガマン。
隠していた南京錠を、すばやく手すりにカシャリ。ますます照れた汐音さんに
みんな、笑ってた。……みんなを、ぐるりと見渡した時、目に入った光景。塩
アイスを少し乱暴に口の中に押し込んで、呑み込んで。僕の視線に気づいて
淡く、ほろ苦く笑って、視線を逸らした凛々花さんの横顔


  (何かを書いて、そして消した痕がある)


 その時、涼介が「南京錠をみんなで一緒につけよう」、と言って、サイトさん
が即座に同意した。みんな、意見に賛成。南京錠をつけるようになった。僕
も凛々花さんも、何事もなかったかのように、同意して参加する。心の中で
涼介やサイトさんに、感謝。でも、サイトさんとも不思議な縁だな。今でも涼
介のベスプレで会うサイトさんは、やっぱり涼介のベスプレで出会って仲よ
くなった。僕のベスプレにもたまに顔を出してくれて、イメージは「神出鬼没
な人」っていうイメージ。皆で南京錠をつける段階になって、ハッと我に返る
涼介が照れる。そんなに、照れることかな…?「自分で赤くなるな! こっ
ちのが恥ずかしいでしょっ」って鳥守道さんが言ってたけど、うん、その通り
だよね。

「一部の方はもっと他にやるべき相手がいるのではないかね?」

 楽しそうにつぶやいたネーヴェさんの言葉に、まず涼介が鏡華ちゃんの
ことで沙希さんにからかわれる。余計赤くなる涼介。そんな沙希さんに僕
が不意打ち。「じゃあ沙希さんは氷蜜先輩とだね」なんて言えば、今度は
沙希さんが真っ赤になる。みんなで、いつしか訪れていた夕焼けの中で
笑いながら、カチリ。南京錠に、永遠の友情と親愛を誓って。


 南京錠をかけて気も取り直したら、その前で記念撮影。カメラマンになろ
うとする汐音さんと僕や涼介で止めて、カメラを若葉さんにお願いする。写
真が苦手、って言ってた天峯さんも、端っこに並んでくれた。銀色の髪をし
た物静かな天峯さんは、これでけっこうお茶目さん。でも、写真は苦手、と
言った時の苦笑は、怜悧な容貌のままの、整った苦笑だったな。若葉さ
んに汐音さんがカメラのレクチャーを終えると、みんなでそろって、一枚。
死と隣り合わせの青春の中で出会った、僕のかけがえのない友達たち
と、そろって、思い出の写真を一枚。空は、燃える様な、夕焼けだった。


 ……うん、別れた時のことは、あんまり書きたくないな。また、少し涙ぐ
んじゃうから。言葉に出来ないくらいに楽しくて、面白くて。充実した、修
学旅行の、最高の思い出。

  汐音さん
  涼介
  凛々花さん
  沙希さん
  望美さん
  天峯さん
  サイトさん
  ネーヴェさん
  ヴァリウス閣下
  鳥守道さん


みんな、ありがとう。本当に、楽しかったよ。


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コメントコメント


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とすると…

修学旅行楽しかったようで羨ましいです。

ところで…
ボクはストロームガルド閣下って呼ばないといけないのかな?

辻村 崇 | URL | 2009/07/01 (Wed) 23:19 [編集]


いえ、とんでもないです

僕の家は貴種の末席も末席ですから。
他の方と並んでなんて畏れ多いです。

辻村さんも修学旅行に行く時になったら
うんと楽しんでくださいね!
素敵な思い出、たくさん作れますから!

イセス | URL | 2009/07/02 (Thu) 19:55 [編集]


 
 

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